引用文献:水質基準の見直しにおける検討概要(平成15年4月 厚生科学審議会・生活環境水道部会・水質管理専門委員会)
改訂3版 水道水質基準ガイドブック(平成16年2月 日本環境管理学会 編)
No.1 一般細菌 |
概要 |
標 準寒天培地を用いて36±1℃で24±2時間培養したとき、培地に集落を形成する細菌のことです。一般細菌は、屎尿、雑排水の他、河川、地下水、土壌、食 品、さらには空気中にまで広く存在します。一般細菌が平常値よりも著しく増加した場合には、何らかの汚染あるいは病原生物混入の可能性を示唆しています。 また、浄水場における消毒効果確認の指標としても一般細菌検査が行われます。 |
健康影響 |
一般細菌の多くは無害の雑菌といわれていますが、日和見感染を起こすものもあります。 |
浄水方法 |
水道水の末端で残留塩素0.1mg/L以上となるように塩素滅菌することが義務づけられている。また、沸騰水に15分から30分浸すこととしてる。(濁度0度の水では煮沸1分間で細菌やウイルスを不活化する。) |
No.2 大腸菌 |
概要 |
大腸菌(E.Coli)は、温血動物(哺乳類・鳥類)の消化管、特に大腸に生息します。主な水系感染症が糞便を媒体にして感染することから、糞便に多量に存在し、浄水過程で病原菌よりも耐性がある大腸菌を検査し、糞便汚染の指標とされています。 |
健康影響 |
飲 料水が糞便等により汚染された場合、そこに病原菌が存在すれば感染する恐れがあります。主な水系感染症としてはコレラ、チフス、赤痢、サルモネラ症等があ ります。大腸菌自体は指標であり、人体への害がないものがほとんどですが、尿路感染症や敗血症等の日和見感染を起こすことがあります。また、病原性大腸菌 は出血性大腸炎や急逝胃腸炎等を起こすことがあります。 |
浄水方法 |
大 腸菌は遊離残留塩素濃度0.1mg/Lで5分、0.2mg/Lで瞬時に死滅する。チフス菌、コレラ菌、赤痢菌は0.1mg/Lで15秒から30秒で死滅す る。感染症新法の熱湯消毒条件は80℃以上10分浸漬する。濁度0度の水は、1分間の煮沸で細菌やウイルスが不活性化する。 |
No.3 カドミウム及びその化合物 |
概要 |
亜 鉛鉱はすべて少量のカドミウムを含んでおり、普通カドミウムは亜鉛精錬の副産物として作られます。地表水や地下水中のカドミウムは亜鉛含量の100分の1 から150分の1といわれてます。カドミウムの水中への由来は、亜鉛鉱山からの流入水、亜鉛精錬所や金属工業、メッキ工場、ゴミ焼却場の排水などです。 |
健康影響 |
カ ドミウムは食物摂取によって、あるいは肺からかなり容易に吸収されます。吸収されたカドミウムは血液中に入り、人体のいずれかの臓器に濃縮され、肝臓、腎 臓はともにカドミウムを蓄積します。カドミウムによる急性毒性としては、腎臓障害(尿蛋白、糖尿、尿アミノ酸)等が、慢性毒性としては、異常疲労、臭覚鈍 化、貧血、骨軟化症等の症状がみられます。富山県の神通川流域に多発したイタイイタイ病は、鉱山排水中のカドミウムが原因とされ、1968年に公害病に認 定されました。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)による多少の除去性があり、活性炭、石灰軟化、イオン交換及び逆浸透により除去できる。 |
No.4 水銀及びその化合物 |
概要 |
水 銀は自然水中に含まれることはまれですが、水銀鉱を産出する地域の地下水鉱泉水に検出されることがあります。水銀が混入するのは、主として工場排水、農薬 散布が原因です。常温で唯一液体金属であり、温度計、気圧計などの計器類のほかに、各種水銀化合物の原料として、また電極、触媒、水銀灯など幅広い用途が あります。 |
健康影響 |
水 銀毒性の主な影響は神経と腎臓の障害です。水銀による急性毒性としては、口内炎、下痢、腎障害等が、慢性中毒としては、貧血、白血球減少を起こし、さらに 手足の知覚喪失、精神異常等の症状がみられます。水俣病は、工場排水中のメチル水銀を接取した魚介類を人が摂取したことで発症した公害病です。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)による多少の除去性があり、活性炭、逆浸透、ナノろ過により除去できる。 |
No.5 セレン及びその化合物 |
概要 |
天然には、重金属の硫化物あるいはイオウの鉱床に含有されます。黄鉄鉱(FeS2)の鉱床付近のようなセレンを含有する土壌からの流出水には、高濃度に検出されることもあります。セレンには、電子部品材料、顔料、薬剤等の用途があります。 |
健康影響 |
セレンはヒ素に類縁の元素で、金属セレンには毒性は少ないですが、化合物には毒性があります。セレンの毒性としては、粘膜に刺激を与え、胃腸障害、肺炎などの症状を起こし、全身痙攣から死に至ることもあります。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)による多少の除去性があり、活性アルミナ、イオン交換、逆浸透により除去できる。 |
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No.6 鉛及びその化合物 |
概要 |
鉛は地殻の構成成分であり、多くの鉱石中に存在します。鉛は種々の工業製品中に添加物、不純物として含まれているため、環境中に広く分布しています。水道水中に検出される鉛は、多くの場合使用している鉛管からの溶出によるものです。 |
健康影響 |
鉛による急性毒性としては、嘔吐、腹痛、下痢、血圧降下、乏尿、昏睡等が、慢性毒性としては、貧血、消化管の障害、神経系の障害等の症状がみられます。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)による多少の除去性があり、イオン交換により除去できる。 |
No.7 ヒ素及びその化合物 |
概要 |
元 素としてのヒ素は不溶性のうえ毒性も弱いが、ヒ素化合物は極めて有毒です。多くのヒ素化合物は水溶性であるため、ヒ素による水質汚染が起きます。ヒ素は自 然界に広く分布し、通常、口にする多くの食品にも微量のヒ素が含まれています。一般的には、鉱山、染料、製革などの工場排水、特に銅鉱山排水中に、また農 薬等の中にも含まれています。 |
健康影響 |
ヒ 素には三価と五価のものがあり、無機化合物の場合、三価のもののほうがかなり毒性が強いです。ヒ素による急性毒性としては、コレラ様の嘔吐、下痢、脱力 感、筋肉痙攣、嚥下困難、心室性不整脈、皮膚のびらん等の昏睡後死亡します。慢性毒性としては、目・鼻・喉等の粘膜炎症に続き、筋肉の弱化、食欲減退が起 きます。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)およびイオン交換による除去性があり、逆浸透、ナノろ過、限外ろ過、活性アルミナにより除去できる。 |
No.8 六価クロム及びその化合物 |
概要 |
六価の形で存在しているクロムのことで、水に溶けると重クロム酸、クロム酸等を生成します。六価クロムはその強力な酸化力のため、酸化剤としてメッキ・染料・皮革・織物の媒染剤など様々な工業に使用されているので、これらの工場からの工場排水には多く含まれています。 |
健康影響 |
六価クロムの毒性としては、嘔吐、下痢、腹痛、尿量減少、肝障害、痙攣、昏睡等を起こし死亡します。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)による除去性がある。逆浸透およびイオン交換により除去できる。亜硫酸水素ナトリウム等で還元し三価のクロムとしたあと、アルカリ剤を加え沈殿分解する「還元沈殿法」がある。 |
No.10 シアン化物イオン及び塩化シアン |
概要 |
シアンは自然水中にはほとんど存在しませんが、シアン化合物を含んだ排水などの混入によって水中に見出されることがあります。シアン化合物を含んだ排水としては、メッキ工業、金属精錬、写真工業、金属熱処理、シアン化合物製造業、都市ガス製造工業排水等があります。 |
健康影響 |
シ アン化カリウム、シアン化ナトリウムが経口的に体内に入ると、ヘモグロビンの酸素運搬機能を阻害し、その結果生体内に酸素を供給できなくなり、窒息状態と なります。中毒症状としては、めまい、頭痛、意識喪失、痙攣等で、高濃度の場合は、呼吸中枢麻痺による呼吸停止を起こし死亡に至ります。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(塩素による酸化処理)のほか、逆浸透、イオン交換膜により除去できる。 |
No.11 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 |
概要 |
土 壌、あらゆる場所の水、野菜等を含む植物中に広く相当量存在します。一般に地表水では少なく、地下水では浅層水に多く溶存しています。肥料の使用、腐敗し た動植物、生活排水、下水汚泥の陸上処分、工場排水、塵芥の残さ物、ばいじん空気の洗浄水等が硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の汚染源となります。 |
健康影響 |
硝 酸性窒素・亜硝酸性窒素を11mg/L以上含む水を摂取すると、乳児にメトヘモグロビン血症(チノアーゼ)を起こす可能性があるといわれています。また、 体内でアミンやアミドと反応し、発ガン性が考えられるニトロソアミンを生成します。ニトロソアミンが生成すると、膀胱の病気と胃塩酸欠乏症にかかりやすく なります。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法では除去できないが、生物処理、イオン交換、逆浸透により除去できる。 |
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No.12 フッ素及びその化合物 |
概要 |
自 然界に広く分布し、資源としては蛍石、氷晶石、燐灰石等として産出します。土壌中にも広く分布しているため、自然水には必ず含まれます。また、アルミニウ ム精錬工業やガラス製造工業等の工業排水中にも含まれるため、工業排水で汚染された河川に多量に含まれていることがあります。 |
健康影響 |
成長期にフッ素をたくさん含む水を常時飲んでいると、斑状歯という歯のホーロー質を痛める病気になりますが、適量のフッ素の場合は虫歯を予防する効果があります。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)による多少の除去性があり、逆浸透、ナノろ過により処理ができる。 |
No.13 ホウ素及びその化合物 |
概要 |
ホウ素はホウ酸の形で広く分布します。植物にとっては必須元素であり、特に海草中に多く含まれます。ホウ素の単体は原子炉の中性子吸着材、鉄合金等に利用され、化合物のホウ酸やホウ砂はガラス、陶磁器のウワグスリ、染料等の用途があります。 |
健康影響 |
ホウ酸は刺激作用が少ないことから消毒薬等に昔から利用されており、有害物としての認識が低く、中毒事故が後を絶ちません。急性毒性としては嘔吐、下痢、腹痛等が、慢性毒性としては食欲不振、無力症、消化管障害等の症状がみられます。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法や活性炭では除去できない。イオン交換による除去性があり、逆浸透により除去できる。 |
No.14 四塩化炭素 |
概要 |
四塩化炭素は合成化学物質であり自然界には存在しません。オゾン層を破壊させる物質に関するモントリオール議定書(1987年)による規制物です。クロロフルオロカーボンの製造、金属洗浄用の溶剤、塗料やプラスチックの製造、消化剤、薫蒸殺菌剤等の用途があります。 |
健康影響 |
四塩化炭素による急性毒性としては、経口、経皮または吸入暴露により、皮膚、循環系、呼吸器系、血液、腎臓、肝臓、眼、膵臓の機能に対して有害な影響を及ぼします。慢性毒性としては、肝臓および腎臓の障害が主な症状であり、神経系および胃腸症状も生じます。 |
浄水方法 |
活性炭処理、ストリッピング(揮散)処理により除去できる。 |
No.15 1,4‐ジオキサン |
概要 |
特有の臭気のある無色の液体で、水と混和します。1,1,1‐トリクロロエタンの安定剤、溶剤としての利用のほか、ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤の不純物として存在します。水道水から高濃度で検出される原因としては、工場からの流出事故が考えられます。 |
健康影響 |
いろいろな腫瘍を誘発する可能性があります。 |
浄水方法 |
通常の浄水処理やエアレーションでは除去できない。生物活性炭により除去できる。 |
No.16 1,1‐ジクロロエチレン |
概要 |
1,1- ジクロロエチレンは合成化学物質であり、自然界には存在しません。塩化ビニリデン樹脂の製造原料および化学中間体の用途があります。表流水中に排出された 場合は速やかに大気中へ揮散し、そこで分解します。地上に排出された場合は土壌には吸着されず、地下水中へ移行します。 |
健康影響 |
1,1‐ジクロロエチレンによる急性毒性としては、4000ppm以上の濃度を吸入すると即発性の神経衰弱を引き起こします。 |
浄水方法 |
活性炭による除去性があり、エアレーションにより除去できる。 |
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No.17 シス‐1,2‐ジクロロエチレン |
概要 |
1,2‐ジクロロエチレン類は合成化学物質であり、自然界に存在しません。トランス異性体との混合物として他の塩素系溶剤の製造工程中の反応中間体、また溶剤、染料抽出剤、香料、ラッカー等の用途があります。 |
健康影響 |
シス‐1,2‐ジクロロエチレンによる急性毒性としては、高濃度の1,2‐ジクロロエチレン類は、他の塩素化エチレン類と同様に麻酔作用を有します。慢性毒性としては、肝機能障害の症状がみられます。 |
浄水方法 |
活性炭による除去性があり、エアレーションおよびオゾン酸化により除去できる。 |
No.18 ジクロロメタン |
概要 |
ジクロロメタンは合成化学物質であり、自然界には存在しません。殺虫剤、染料、ニス、ペイント剥離剤、低沸点用有機溶剤、香料、ココアなどの天然物の抽出剤、工業用洗浄剤等の用途があります。 |
健康影響 |
ジ クロロメタンによる急性毒性としては、20000ppm,30分の吸引によって深い麻酔に陥います。これより軽度の暴露では、吐き気、四肢の知覚異常、昏 睡、めいてい状態などを生じます。皮膚・粘膜への刺激もあります。慢性毒性としては、神経系と粘膜刺激の症状がみられます。 |
浄水方法 |
活性炭による除去性があり、エアレーションにより除去できる。 |
No.19 テトラクロロエチレン |
概要 |
テトラクロロエチレンは合成化学物質であり、自然界には存在しません。有機溶剤、ドライクリーニンング溶剤、金属部品の脱脂洗浄の用途があります。 |
健康影響 |
テトラクロロエチレンによる急性毒性としては、中枢神経系抑制作用を主として不快感、めまいなど、さらに高濃度では意識を失います。 |
浄水方法 |
活性炭およびオゾンによる除去性があり、エアレーションにより除去できる。 |
No.20 トリクロロエチレン |
概要 |
トリクロロエチレンは合成化学物質であり、自然界には存在しません。工業用の溶剤、金属部品の脱脂洗浄等の用途があります。 |
健康影響 |
トリクロロエチレンによる急性毒性としては、15mLから25mLの経口暴露では、嘔吐、腹痛が起こり、次いで一時的な意識不明を起こします。 |
浄水方法 |
活性炭およびオゾンによる除去性があり、エアレーションにより除去できる。 |
No.21 ベンゼン |
概要 |
ベ ンゼンは石油を分溜して得られます。有機合成化学の原料、中間体としてスチレン、フェノール、合成ゴム等の合成等の用途があります。ガソリンの中には平均 で0.8%含まれています。環境中へのベンゼンの放出は、主にガソリン、石油製品からの流出が原因で、表流水中に放出したベンゼンは、揮発性のため、大気 中に気散します。地下に流出したベンゼンは土壌に吸着するとともに地下水中に到達し、わずかに生物分解されて、そこで安定するものと考えられています。 |
健康影響 |
ベンゼンによる急性毒性としては麻酔作用があり、高濃度暴露では頭痛、悪心、けいれんを起こして昏睡死亡することがあります。慢性毒性としては造血組織に対する障害作用があり、再生不良性貧血や白血病を引き起こすことが知られています。 |
浄水方法 |
活性炭、オゾンおよび膜ろ過による除去性があり、エアレーションにより除去できる。 |
No.22 塩素酸 |
概要 |
塩素酸は、浄水課程で消毒剤として使用される二酸化塩素及び次亜塩素酸ナトリウムの分解生成物です。特に、次亜塩素酸の長期保存による酸化により、塩素酸 濃度の上昇が起こることがあり、高温下での貯蔵はその上昇が顕著です。平成20年4月1日より、水質管理目標設定項目から基準項目に設定されました。 |
健康影響 |
赤血球の障害作用があります。 |
浄水方法 |
活性炭で除去できる。また、塩素酸濃度を適切に管理するためには、次亜塩素酸の適正な温度管理下での貯蔵が必要です。 |
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No.23 クロロ酢酸 |
概要 |
溶剤、洗浄剤、医薬品の用途があります。水道水に含まれるクロロ酢酸をはじめとするハロゲン化酢酸は、原水中の有機物質が消毒剤(塩素)と反応して生成する消毒副生成物です。 |
健康影響 |
ラットに対する飲水投与試験では、体重減少、肝臓、腎臓重量の減少をはじめ様々な影響が見られました。 |
浄水方法 |
前駆物質となる有機物は、通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)、活性炭による除去性がある。 |
No.24 クロロホルム |
概要 |
浄水過程で、水中のフミン質等の有機物質と消毒剤の塩素が反応して生成するトリハロメタンの主要構成物質です。医薬品(麻酔剤)や、各種工業製品の製造過程における溶媒の用途があります。 |
健康影響 |
クロロホルムは中枢神経を麻痺させることができます。慢性毒性として12年間にわたって吸入した結果、うつ病状態、食欲不振、幻覚、運動失調、発声障害などの精神・神経症状が多発することが報告されています。 |
浄水方法 |
前駆物質は、通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)、オゾン処理、活性炭により除去できる。エアレーションによる除去もできる。 |
No.25 ジクロロ酢酸 |
概要 |
水中にフミン質やその類似物質が存在すると、塩素処理により生成します。ジクロロ酢酸自体は刺激臭のある液体です。 |
健康影響 |
ジクロロ酢酸の関連化合物(ジクロロ酢酸ナトリウム、ジクロロ酢酸メチル等)で毒性が見られます。 |
浄水方法 |
前駆物質となる有機物は、通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)、活性炭による除去性がある。 |
No.26 ジブロモクロロメタン |
概要 |
水中のフミン質等の有機物が、浄水過程において消毒用の塩素と反応して生成します。トリハロメタン構成物質の一つです、原水中の臭素イオン濃度により生成量は大きく変化します。 |
健康影響 |
毒性としては、肝臓への影響が考えられます。 |
浄水方法 |
前駆物質は、通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)、オゾン処理、活性炭による除去性があり、膜ろ過により除去できる。エアレーションによる除去もできる。 |
No.27 臭素酸 |
概要 |
原水に含まれる臭素がオゾン処理で酸化されて生成するほか、消毒剤の次亜塩素酸ナトリウムの製造時に、不純物として含まれている臭素が酸化されて生成します。 |
健康影響 |
臭素酸の主たる化合物の臭素酸カリウムは、人に対して発がんの可能性があるとされています。 |
浄水方法 |
通常の浄水処理では除去できない。エアレーションも有効ではない。 |
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No.28 総トリハロメタン (クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、及びブロモホルムのそれぞれの濃度の総和) |
概要 |
飲料水中のトリハロメタン濃度は水温の上昇する夏期に高く、下降する冬期には低い傾向があります。 |
健康影響 |
クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムの欄を参照。 |
浄水方法 |
前駆物質となる有機物は、通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)、オゾン処理、活性炭による除去性があり、膜ろ過のより除去できる。総トリハロメタンはエアレーションにより除去できる。 |
No.29 トリクロロ酢酸 |
概要 |
水中にフミン質やその類似物質が存在すると、塩素処理により生成します。トリクロロ酢酸は、わずかに特有臭のある潮解性の固体であり、極めて水に溶けやすく、水溶液は強酸です。腐食性が強く、角質溶解材としてタコ、マメ、イボに塗布することもあります。 |
健康影響 |
トリクロロ酢酸による急性毒性としては、目、皮膚および粘膜に対して、腐食性かつ刺激性があります。 |
浄水方法 |
前駆物質となる有機物は、通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)、活性炭による除去性がある。 |
No.30 ブロモジクロロメタン |
概要 |
水中のフミン質等の有機物が、浄水過程において消毒用の塩素と反応して生成します。トリハロメタン構成物質の一つです、原水中の臭素イオン濃度により生成量は大きく変化します。 |
健康影響 |
ブロモジクロロメタンの毒性としては、経口摂取で中程度の毒性を示します。高濃度で麻酔作用があります。加熱すると分解し、BrとClを含む極めて毒性の強いガスを発します。 |
浄水方法 |
前駆物質は、通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)、オゾン処理、活性炭による除去性があり、膜ろ過により除去できる。エアレーションによる除去もできる。 |
No.31 ブロモホルム |
概要 |
水中のフミン質等の有機物が、浄水過程において消毒用の塩素と反応して生成します。トリハロメタン構成物質の一つです、原水中の臭素イオン濃度により生成量は大きく変化します。 |
健康影響 |
クロロホルムよりも毒性が強く局部粘膜刺激があり、蒸気吸入によって肝障害を起こします。 |
浄水方法 |
前駆物質は、通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)、オゾン処理、活性炭による除去性があり、膜ろ過により除去できる。エアレーションによる除去もできる。 |
No.32 ホルムアルデヒド |
概要 |
水 道原水の有機物と消毒用の塩素やオゾンとの化学反応で生成します。純ホルムアルデヒドは無色の極めて弱い酸で、気体または液体であり、刺激臭を有します。 石炭酸系、尿素系、メラミン系合成樹脂製造原料、ポリアセタール樹脂原料のほか、農薬、消毒剤、防腐剤の原料としての用途があります。 |
健康影響 |
ホルムアルデヒドによる急性毒性としては、皮膚、眼、粘膜に刺激性の毒性があります。 |
浄水方法 |
前駆物質である有機物は、通常の浄水処理(凝集沈殿+ろ過)、活性炭による除去性がある。 |
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No.33 亜鉛及びその化合物 |
概要 |
自 然水中に亜鉛は微量に含まれますが、高濃度の亜鉛は、鉱山排水や工場排水等による汚染が原因となることが多くあります。水道水では、給水設備に亜鉛引鋼管 が用いられると、通水の初期に溶出亜鉛が含まれることがあります。水道水に高濃度の亜鉛が含まれていると白濁して、いわゆる白水の原因となります。 |
健康影響 |
亜鉛の毒性は比較的弱いですが、下痢、腹痛、痙攣等の中毒症状をもたらすことがあります。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(凝集沈殿+ろ過)、イオン交換による除去性があり、膜ろ過により除去できる。 |
No.34 アルミニウム及びその化合物 |
概要 |
金 属元素として地球上に最も多く存在し、さびにくくて丈夫であることから航空機や自動車、建築物等に広く利用されています。水道水から検出されるものは、急 速ろ過に用いられる凝集剤(硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム)からの溶出や、自然水に含まれるアルミニウムに由来します。近年では、酸性雨によ り、土壌中のアルミニウムが水源に溶出することが懸念されています。 |
健康影響 |
アルミニウムには神経毒性があることが実験的に確かめられていますが、人体にはアルミニウムの侵入を防ぐ機構があり、摂取しても普通はほとんど吸収しないといわれています。また、アルミニウムの摂取により、アルツハイマー病を促進する仮説も唱えられています。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(ろ過)、活性炭による除去性がある。 |
No.35 鉄及びその化合物 |
概要 |
自 然水中の鉄のほとんどは岩石や土壌に由来するほか、鉱山や工場の排水由来のものもあります。水道水では、配管から溶出した鉄が入る可能性があり、特にpH やアルカリ度の低い水やCO2濃度の高い水では溶出しやすくなります。水中の鉄が0.3mg/L以上になると、赤水の原因となり、臭気や苦味があるほか、 洗濯物への着色等がみられます。 |
健康影響 |
鉄は栄養上、一人1日あたり約10mgから50mg以上の摂取が必要とされています。しかし、慢性的に過剰に摂取すると、皮膚色素沈着、肝腫、肝硬変、内分泌障害、関節障害等の症状がみられます。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(ろ過)、生物処理、マンガン接触による除去性があり、ナノろ過、限外ろ過、酸化処理(塩素、オゾン)により除去できる。 |
No.36 銅及びその化合物 |
概要 |
自 然水では汚染のない限り銅濃度は非常に濃度は低く、鉱山や工場の排水、農薬等の混入のほか、貯水池において藻類の繁殖を抑制するために硫酸銅を散布するこ と等に由来します。給湯設備の材質に銅を用いたときには、溶出銅による着色水や濁り水が見られる場合があります。また、水中の銅濃度が1.0mg以上にな ると、洗濯物や配管設備に汚れがみられます。 |
健康影響 |
銅は必須元素の一つで、成人の必要量は1日約2mgとされています。哺乳類への毒性は低く、また、生体中における蓄積性が低いため、慢性毒性の恐れも小さいとされています。逆に藻類、カビ、種子植物に対する毒性が高いため、農薬等に利用されています。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(凝集沈殿・ろ過)による除去性があり、イオン交換、膜ろ過により除去できる。 |
No.37 ナトリウム及びその化合物 |
概要 |
地球上に様々な鉱物として広く分布するほか、海水中には約10mg/L含まれます。水道水中においては、自然由来のもののほか、水処理工程でpH調整するために用いられる水酸化ナトリウムや消毒用の次亜塩素酸ナトリウム由来のものがあります。 |
健康影響 |
ナトリウムを多量に摂取すると、高血圧症を進行させる場合がありますが、尿や汗とともに速やかに排出されるため、血中濃度が上がりすぎることはまれであるとされています。 |
浄水方法 |
膜ろ過による除去性があり、イオン交換、逆浸透により除去できる。 |
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No.38 マンガン及びその化合物 |
概要 |
自 然水中のマンガンは地質に由来するものがほとんどですが、まれに鉱山廃水や工場排水由来のものもあります。マンガンは微量であっても消毒用の塩素によって 酸化され、マンガンイオンの300倍から400倍の色度を呈することがあります。また、水槽や配管に付着すると、それが触媒となり、酸化が促進されて沈積 が多くなり、流速の変化で流出し、黒い水の原因になります。 |
健康影響 |
マンガンは必須元素の一つで、成人の必要量は1日当たり1.8mgから2.3mgと定められています。しかし、高濃度で摂取すると、全身倦怠感、食欲不振、頭痛、関節痛、脳炎等の中毒症状がみられます。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(塩素による酸化処理)、膜ろ過による除去性があり、マンガン接触ろ過により除去できる。 |
No.39 塩化物イオン |
概要 |
自 然水は常に多少の塩化物イオンを含んでおり、これは地質に由来するもので、特に海岸地域においては海水や送風塩の影響が大きいとされています。しかし、塩 化物イオンは下水や家庭排水、工場排水等の混入によって増加することもあるため、水質汚濁の指標の一つともなっています。また、多量の塩化物イオンは水に 味をつけたり、鉄管等の腐食を促進する傾向があります。 |
健康影響 |
塩化物イオンは4000mg/L以上で心臓病、腎臓病患者に有害とされています。 |
浄水方法 |
イオン交換、膜ろ過による除去性がある。 |
No.40 カルシウム、マグネシウム等(硬度) |
概要 |
石 鹸の泡立ちのよい水を軟水、泡立ちの悪い水を硬水といい、水の硬度とは、石鹸の使いやすさの程度を数値化したものです。化学的には、水中のカルシウムイオ ンとマグネシウムイオンの量を、これに対応する炭酸カルシウムのmg/Lに換算して表したものです。自然水中のこれらのイオンの由来は、土や海水、温泉 水、工場排水、下水等の混入がありますが、水道水については施設のコンクリート構造物からの溶出や水の石灰処理による硬度の増加等があります。 |
健康影響 |
硬度が高すぎると、胃腸を害して下痢を起こす場合があります。また、硬度の高い水を飲用すると尿石症になりやすいといわれています。 |
浄水方法 |
イオン交換、石灰軟化、膜ろ過による除去性がある。 |
No.41 蒸発残留物 |
概要 |
水を蒸発乾固させたときに残る物質の総量を示します。水道水の蒸発残留物はカルシウムやマグネシウム等のミネラルが主成分となります。500mg/L以上あると味を生じ、給水装置等に腐食やスケールを生じさせることがあります。 |
健康影響 |
蒸発残留物質を形成する溶解物質には、衛生上意義のあるものもありますが、健康影響の詳細はあまり知られていません。 |
浄水方法 |
ナノろ過、イオン交換、石灰軟化による除去性がある。 |
No.42 陰イオン界面活性剤 |
概要 |
陰イオン界面活性剤は、洗剤の主成分(アルキルベンゼンスルホン酸塩等)として用いられており、生活排水や産業排水の混入により汚染されます。水中に混入すると発泡の原因となり、汚濁の重要な指標とされています。 |
健康影響 |
数mg/Lでは無害といわれていますが、ガンや奇形の原因になるという説もあります。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(緩速ろ過)、膜ろ過、オゾン、活性炭、生物処理により除去できる。 |
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No.43 (4S,4aS,8aR1)‐オクタヒドロ‐4,8a‐ジメチルナフタレン‐4a(2H)‐オール (別名:ジェオスミン) |
概要 |
ジェオスミンはいわゆるカビ臭の原因として確認されている物質で、富栄養化した水域で発生する放線菌や藻類等によって産出されます。特に6から8月の水温上昇時期になるとこれらの生物が活発に増殖するため、水道水にカビ臭を呈することがあります。 |
健康影響 |
急性毒性については、水中に存在する濃度が低いため、問題ないと考えられています。慢性毒性については特に認められていません。 |
浄水方法 |
膜ろ過による除去性があり、通常の浄水方法(緩速ろ過)、オゾン、活性炭、生物処理により除去できる。 |
No.44 1,2,7,7‐テトラメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン‐2‐オール (別名:2‐メチルイソボルネオール) |
概要 |
ジェオスミンと同様に、いわゆるカビ臭の原因として確認されている物質で、富栄養化した水域で発生する放線菌や藻類等によって産出されます。特に6から8月の水温上昇時期になるとこれらの生物が活発に増殖するため、水道水にカビ臭を呈することがあります。 |
健康影響 |
急性毒性については、水中に存在する濃度が低いため、問題ないと考えられています。慢性毒性については特に認められていません。 |
浄水方法 |
膜ろ過による除去性があり、通常の浄水方法(緩速ろ過)、オゾン、活性炭、生物処理により除去できる。 |
No.45 非イオン界面活性剤 |
概要 |
界面活性剤のうち、イオンに解離する基を持たないものを指します。洗浄剤や乳化剤、分散剤、流出油の処理剤の用途があります。 |
健康影響 |
多種の非イオン界面活性剤が製造されていますが、健康影響に対する詳細はほとんどわかっていません。 |
浄水方法 |
活性炭に除去性がある。 |
No.46 フェノール類 |
概要 |
フェ ノール類は消毒剤、合成樹脂、界面活性剤等の原料としての用途があります。天然水中には存在せず、化学工場やガス製造工場等の排水中に含まれています。 フェノール類が含まれていると、水の塩素処理過程でクロロフェノール類が発生し、著しい異臭味を与えます。ただし、適切な塩素消毒を行うと酸化分解によ り、異臭味が減少及び消失します。 |
健康影響 |
フェノール類は組織への腐食作用、中枢神経への毒作用があり、多量の内服は消化管炎症、嘔吐、けいれんを引き起こします。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(塩素処理)、活性炭に除去性があり、オゾン処理により除去できる。 |
No.47 有機物(全有機炭素(TOC)の量) |
概要 |
水 中の有機物量を、それに含まれる炭素の量で示すもので、試料を高温で燃焼させて発生する二酸化炭素量を測定します。これまで、過マンガン酸カリウム消費量 が水中の有機物量の指標とされてきましたが、有機物の種類によって酸化分解を受ける程度が異なることや還元性の無機物とも反応し、過マンガン酸カリウムの 消費量が増えるため、測定の対象がはっきりしない問題がありました。 |
健康影響 |
物質を特定できないため、健康影響については不明です。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(緩速ろ過)、生物処理、オゾンによる除去性がある。 |
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No.48 pH値 |
概要 |
一 般に自然水のpH値は他からの影響がない限り安定していますが、降雨、土壌、工場排水、汚染物質の混入、プランクトンの発生等により敏感に変化します。こ のため、pHの変化は、その水に何らかの異常が起こったことを示す指標になります。基準は水道施設の腐食等を防止するために弱酸性から弱アルカリ性に設定 されています。 |
健康影響 |
弱酸、弱アルカリは味の悪化があり、強酸、強アルカリの飲用は粘膜への影響があります。 |
浄水方法 |
アルカリ剤(消石灰等)・酸性剤(硫酸等)の投入、エアレーション等によるpHコントロールが一般的である。 |
No.49 味 ・ No.50 臭気 |
概要 |
水 に異臭味があると、その水に不純物の存在や微生物の発生の指標となります。例えば水道原水の場合は、藻類の発生や工場排水・化学薬品等の混入、地下水の場 合は硫化水素や鉄に起因すること、海水の混入、給水施設の場合は家庭排水・汚染物質等の混入や配管の腐食等が考えられます。 |
健康影響 |
異臭味を起こす原因物質には様々であるため、健康影響については一概に言えませんが、衛生上の影響がある可能性があるため、平常時と異なる場合は原因を追究し、改善策を検討する必要があります。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(緩速ろ過)、オゾン、活性炭、生物処理、膜ろ過による除去性がある。 |
No.50 色度 |
概要 |
水中含まれる溶解性物質やコロイド性物質が呈する黄褐色の度合いを数値で示したものです。水道原水においては主に地質に由来するフミン質が、水道水においては配管等から溶出する鉄や生活排水・化学物質等の混入により、色度が高くなる場合があります。 |
健康影響 |
着色を起こす原因物質には様々であるため、健康影響については一概に言えませんが、着色物質によっては、病原菌や有毒物質等を含んだものもあるため、原因を追究し、改善策を検討する必要があります。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法(凝集沈殿・ろ過)、オゾン、活性炭、膜ろ過による除去性がある。 |
No.51 濁度 |
概要 |
水に浮遊する微小粒子による濁りの程度を示したものです。水道原水での濁りの原因は粘土や土砂によるものが多く、浄水処理に大きな影響を与えます。また、水道水の濁りは配管等のさびや生活排水・化学物質等の混入が原因として考えられます。 |
健康影響 |
濁りを起こす原因物質には様々であるため、健康影響については一概に言えませんが、濁りの質によっては、病原菌や有毒物質等を含んだものもあるため、原因を追究し、改善策を検討する必要があります。 |
浄水方法 |
通常の浄水方法で除去できる。 |