MECビオトープ

カスミサンショウウオの保全を目指して

はじめに

(財)三重県環境保全事業団では、敷地内の遊休地に、平成11年12月カスミサンショ ウウオが生息できる環境を目的としたビオトープ施設を造りました。

これまで私ども(財)三重県環境保全事業団は、これまで宅地開発等の各種事業に係る環境 アセスメントの中で、多くの動植物の保全に努めてまいりました。

その中には、生態がよく知られていないことから、その保全方法等の検討の際に戸惑うこと も少なくありませんでした。

今回、このような悩みに解決方法を与える一方策として、自社の遊休地を活用しMECビオト ーブを創出することにいたしました。

今後は、このビオトーブを活用し、ビオトーブ創造技術の習得や保全のための基礎データの 蓄積を行います。また、広く県民に開放し、同じビオトーブ創造技術の習得や研修の場を提供します。

MECビオトープの概要

・対象:カスミサンショウウオ(Hynobius nebulosus  nebulosus)

・面積:600平方メートル

・対象を選定するにあたって考慮したこと

  • 当事業団が河芸町に立地していること
  • 過去のビオトープ保全・創造技術の実績を踏まえること
  • 種の保護、保全のための緊急性があること
  • 保護、保全のための基礎データが習得できること
  • 県民に公開できること
  • 設計にあたって考慮したこと
  • カスミサンショウウオの世代交代が可能な環境を整備すること
  • できるだけ人工物は使用しないで、天然材料を使用すること
  • 人工物を使用する場合はリサイクル品を使用すること
  • 水源確保にあたっては、雨水を利用することとし、水道水の使用は最小限に留めること

カスミサンショウウオの移殖 

移植したカスミサンショウウオの成体、卵の採取場所は当事業団から約1キロメートル以内の河芸町 地内です。

調査研究の内容

カスミサンショウウオの生態を把握するために本ビオトープを活用し、次のような調査、研究 を実施しています。

・産卵時期と気温、水温の関係

・産卵地の選択

・胚の発生の経過

・成体の行動

 

▼2年目を迎えたカスミサンショウウオ

平成14年2月

2年目を迎えたカスミサンショウウオ

 

▼MECビオトープ(完成時)
・[全体]平成11年12月1日 ・[雨水タンク]
全体平成11年12月1日 雨水タンク
・[産卵池] ・[観察路]
産卵池 観察路
・[敷設した落ち葉とわら] ・[観察小屋]
敷設した落ち葉とわら 観察小屋

 

▼MECビオトープ(2年目)
・[全体]平成13年9月6日 ・[案内版]
全体平成13年9月6日 案内版
・[産卵池の様子] ・[ガマの葉にとまるショウジョウトンボ]
産卵池 ガマの葉にとまるショウジョウトンボ